新NISAの基本と「成長投資枠」「つみたて投資枠」の違い

今さら聞けない そもそも新NISAとは

先週末に各証券会社から、【こちら】などのプレスリリースで、クレジットカード決済による投信積立上限が、5万円から10万円に増額されることが発表(SBI証券は時期は未定)されましたが、2024年1月から始まった新NISA。

これまでも
S&P500と全世界株式(オルカン)は結局どちらを買うべきか
オルカン(全世界株式)を毎月30万積み立てた場合のシュミレーション
つみたてNISAの売却(解約)方法
SBI証券でつみたてNISAの買付を設定する方法
三井住友NLカードを使ってSBI証券でつみたてNISAを始める方法
つみたてNISA口座をひふみ投信からSBI証券に変更する方法
ひふみ投信でつみたてNISAを6年間運用した結果
などを書いてきましたが、先日妻からタイトルの質問があったので、こちらにもまとめたいと思います。
※すでに新NISAが始まりましたので、今回は旧NISAとの比較は割愛します

改めまして、そもそも「NISA」とは、「Nippon Individual Savings Account」の略称で、英国の個人貯蓄口座(ISA)をモデルにした、直訳すると「日本の個人貯蓄口座」でです。
※関連ニュース【NISAの「お手本」ISA、英株の非課税枠拡大

通常、株式や投資信託など金融商品への投資から得られる配当・分配金や売却益には約20%の税金がかかりますが、NISAの年間投資枠内で購入した金融商品から得られる利益が無期限で非課税となる制度、その点が最大の特徴と言えます。

また、個人型確定拠出年金(iDeCo)などとは違い、いつでも売却して現金化できるのも特徴で、18歳以上であれば、少額(ネット証券であれば100円から積立可能)から利用でき、NISA口座内の取引であれば確定申告も不要です。

新NISA 今さら聞けない 基本 初級

成長投資枠と積立投資枠の違い

「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の主な違いは
年間投資限度額
非課税保有限度額
投資可能対象商品
の3点になります。

新NISAの年間投資枠は「つみたて投資枠」が年間120万円・「成長投資枠」は倍となる年間240万円で、二つの枠の併用が可能(合計最大年間360万円)となっています。

生涯に利用できる非課税保有限度額は総額で1,800万円(成長投資枠は1,200万円)になります。

上記、生涯非課税限度額は投資元本ベースでの1,800万であり、売却すれば翌年元本ベースで生涯投資枠が復活します。

最後に投資対象商品の違いですが、「つみたて投資枠」で購入できる商品は、長期の積立分散投資に適した投資信託で「成長投資枠」で購入できる商品は、上場株式・投資信託等になります。

新NISA 成長投資枠とつみたて投資枠の違い
※金融庁【新しいNISA】より引用

具体的な対象商品の違い

【月額最大10万円・年間最大120万の「つみたて投資枠」の対象商品】

「つみたて投資枠」の対象商品は、金融庁が厳選した長期・積立・分散投資に適した280本(新NISA開始2024年1月時点・一部ETF含む)のみになります=長期の資産形成に適さない投資信託は除外されている。

上記「つみたて投資枠」の対象商品は、「成長投資枠」対象商品の条件も満たしていますし、現在も勘違いされている方が一定数いらっしゃると感じている点ですが、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」では、別々の商品を購入しなければいけないなどというルールもありません

そのため、以前書いた【全世界株式(オール・カントリー)を毎月30万積み立てた場合のシュミレーション】のように、併用した場合の月額限度額30万円を、「成長投資枠」「つみたて投資枠」で、同一商品の購入に使うことも可能です。

【月額最大20万円・年間最大240万・生涯最大1,200万円の成長投資枠の対象商品】

一方で「成長投資枠」の対象商品は、投資信託はもちろん、国内外の上場株式・ETF・REITなど、2023年12月発表時点で2,092本と、投資できる商品の幅が広いです。

=上述したように、「つみたて投資枠」の対象商品はもちろん、「つみたて投資枠」では購入できない商品も購入できます

そのため、投資信託だけではなく、優待や配当を目的とした個別株式などの購入は、「成長投資枠」も活用することで、ご自身にとってのベストなポートフォリオを作成することが可能です。

例えば、「つみたて投資枠」では毎月定額の投資信託を購入し、「成長投資枠」では、好きなタイミングで個別株の投資を非課税で行うということが可能です。

NISA 成長投資枠とつみたて投資枠 違い

まとめ

もちろん、必ずしも2つの枠を併用しなければいけないわけではありません

そのため、ご自身の資産運用の目的などから、「つみたて投資枠」「成長投資枠」を上手く使い分けることをオススメします。

大きくまとめると
・早めに1,200万以上の金額を資産運用されたい方は併用
・毎月10万円をゆっくり積み立てたい方は「つみたて投資枠」を活用し、15年かけて生涯投資枠の1,800万を埋める
・投資信託などではなく、個別株など自分の好きな銘柄を購入されたい方は「成長投資枠」を活用
・少額から始めてみようと考えられている方は、100円から投資可能ですので、まずは「つみたて投資枠」で購入することから始めてみてはいかがでしょうか。

NISAのデメリットは?

最後になりますが、そんなNISAにも、デメリットと言える点があります。

主なデメリットは下記2点で

①利益が非課税ということは上述しましたが、逆を言えば、そもそも利益が出ないと非課税のメリットを授受することはできません

②また、NISAはそもそも税金が発生しませんので、一般口座や特定口座であればできる投資の利益と損失を相殺する損益通算もすることができませんし、繰越控除もできません

そして、大前提ですが、NISAでは定期預金などの元本保証の商品は購入できませんので、投資元本を保証されていないという点も予め理解しておきましょう。