結局S&P500と全世界株式(オルカン)はどちらを買うべきか
2024年から新NISAが始まりましたが、人気投資信託はやはり「S&P500(米国の主要企業500社の株式に投資し、S&P500指数に連動する投資成果をめざして運用)」と「全世界株式(日本を含む先進国ならびに新興国の計47カ国・約3,000銘柄=投資可能な世界の上場株の約85%という広範囲をカバーしている株式に投資し、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスに連動する投資成果をめざして運用)の二強となっています。
この2つの銘柄については、これまでも様々な論争が行われてきましたし、
【SBI証券でつみたてNISAの買付を設定する方法】の中でも簡単な比較はご紹介しましたが、今回はもう少し掘り下げて、この2つの銘柄をご紹介したいと思います。
インデックス投資の注意点
その前に、「S&P500」と「全世界株式」などのインデックス投資の注意点ですが
①過去データを見ると、平均5年に1回は下落をしています
「S&P500」も「全世界株式(オルカン)」も、過去のデータを見ると必ず暴落するタイミングはありました。
インデックス投資をする際は、この点を予め認識し、暴落のタイミングは、安い価格で購入できているとポジティブに捉えることが、長期運用する上では重要だと思います。
②過去データで見ると、何度暴落があっても、15年以上保有すれば必ずプラスになってきました
上述したように、定期的に下落局面は必ず訪れてきましたが、15年以上保有していれば、結果必ずプラスになったということもデータで出ています。
そのため、インデックス投資では、長期保有するということがとても重要ですので、すぐに必要となる資金ではなく、15年程度は取り崩す必要のない余剰資金などを、投資の世界でもよく使われる「今日が残された人生で一番若い日」という言葉を常に忘れず、どんな局面でも淡々と積み立てていくことが重要だと思います、
過去15年はS&P500(米国株)の圧勝
それでは本題に。
結論からご紹介しますと、過去15年間は「S&P500」の圧勝で、過去15年間の具体的年平均リターンは、「S&P500」が13.93%・「全世界株式(オルカン)」が10.27%と、3%以上の差がついています。
過去15年間を見ると、全世界株式(オルカン)の方が分散されているので、安全なイメージを持っている方も多いと思いますが、全世界株式(オルカン)の方が、暴落が来ると大きく下落しリターンはそこそこで、米国株の方が、暴落時の下落幅もリターンも優秀だったというのが直近15年間でした。
具体的な数値で言うと、値動きの大きさ(標準僅差)は、「S&P500」が15.35%・「全世界株式(オルカン)」が16.32%で、リターン及びリスクも「S&P500」の方が優秀でした=過去15年間、米国株・欧州株・新興国株の中で、米国株が圧倒的1位で、「全世界株式(オルカン)」では、米国以外の株が足を引っ張った結果となっています。
また直近2023年でも、全世界株式(オルカン)のリターンの大半が、米国株によってもたらされています。
25年前〜15年前の10年間は新興国株が圧勝
しかし、25年前〜15年前の10年間で見ると、新興国株が圧倒的1位でした。
ですので、米国株がずっと1強だったというわけではなく、直近15年間は米国株が最強だったというのが、正確な事実になります。
また、過去の歴史の中では、日本株が1番強かった時代や、スペイン・ポルトガル・イギリス・フランスなどが強かった時代もあるということも、念の為記載致します。
もちろん、過去の成績が未来を保証するものではないということも。
結論
個別株などやらずに、インデックス投資1本で考えている方は
・今後(最低15年以上)も米国株1強時代が続くと思うか?
・新興国(インド株など)の株も持ちたいか?
などを自分自身で自問してみて、その答えによって「S&P500」か、「全世界株式(オルカン)」かに決めるのが良いかと思います。
「S&P500」を買っている方からの意見を聞くか、「全世界株式(オルカン)」を買っている方の意見を聞くかで、捉え方が大きく変わるこの「S&P500」か「全世界株式(オルカン)」かの論調ですし、過去データで考えれば「S&P500」を選択するのが最良でしたが、だからこそ「S&P500はここ15年間の成績が良すぎたため、今後下落する可能性もある」という声も出始めていますし、これからの未来(成績)は誰にも分からないという観点からも、最終的には自分自身の投資に対する考えに基づいて決めるしかないのかと思います。
1点だけ注意点を挙げるのであれば、たまに「決められないので両方買っている」という方がいますが、それであればどちらかだけを買った方が良いのでないかと思います(例えば、米国株が今後も1強だと考えている場合、全世界株式も買ってしまうことで所有比率が下がってしまいます)。
個人的には、先進国にも関わらず長期では人口が大きく減少しない点なども踏まえ、今後も米国株は強いと思いますが、全世界株式(オルカン)の約60%が米国株という点や、アメリカは常に紛争に関わるリスクがあることや、中国株は持ちたいと思っていませんが、インド株などは成長をしていくと考えていること、信託報酬も全世界株式(オルカン)の方が安い(eMAXIS Slimシリースで比較すると全世界株は0.05775%・S&P500は0.09372%)、投資の原則は分散投資という点はもちろん、通貨の分散という観点でもや、向こう15年間を考えると、全世界株式(オルカン)の方が若干魅力的だと感じています。
どちらにせよ、上記2銘柄を買うことは、個別株を買うよりは分散効果があることは間違いありません。
S&P500であれば、米国株500社への分散投資になり、全世界株(オルカン)は47カ国・約3,000銘柄への分散投資です。
ですので、この2銘柄で迷っている時点で、投資の基本である分散投資はクリアしていますので、後はご自身にとっての最良を判断して頂ければと思います。
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