始まった新NISA 口座開設状況や一番人気の投資信託は
2024年1月から新NISAが始まり、2ヶ月が経ちました。
昨年末時点でのNISA口座数は2,136万口座(18歳以上の人口は約1億500万人中)と、1年で19%増えたとのことです。
※【NISAが1年で2割増の2136万口座に-資産形成手段にと金融庁長官数】
SBI証券や楽天証券のランキングを見ると、ここまで2ヶ月の投資信託一番人気は「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー・ワールド・インデックス)」だったようです。
そんな【eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー・ワールド・インデックス)=通称オルカン】の、主な特徴は3つ
①信託報酬が安い
②世界に分散できる
③純資産総額(残高)が多い
です。
具体的には
【①最低水準の信託報酬】
オルカンは2023年9月に信託報酬(運用や管理にかかる費用)を年率0.1133%(税込)から0.05775%(税込)に引き下げ、業界最低水準となっています。
さらに「業界最低コストを目指し続ける」という宣言もしていますので、今後も業界最低水準を維持していく方針です。
【②世界に分散できる】
オルカンは、日本を含む先進国や新興国など全世界の株式(約3,000銘柄・47カ国)に分散投資できるインデックスファンドで、世界各国市場の時価総額約85%をカバーしています。
故に、運用成績1位を取ることは難しいですが、運用成績最下位になることもない点も特徴と言えます。
【③純資産総額(残高)が多い】
①にも通ずることですが、オルカンは2024年1月に純資産総額(残高)も2兆円を突破し、業界全体でも3位の水準です。
ちなみに、先日亡くなってしまった経済評論家の山崎元さんも、オルカンを勧める一人でした。
【eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)組み入れ国】
具体的な組み入れ国は、日本を含む23の先進国と24の新興国株式で構成されています。
先進国株式約84%、新興国株式約10.4%、国内株式が約5.5%の比率です(2023年11月末時点)。
先進国株式では米国株式の比率が約60%、欧州株式が約20%の内訳です。
・アメリカ 60.4%
・日本 5.5%
・イギリス 3.5%
・フランス 2.8%
・カナダ 2.7%
・スイス 2.3%
・ドイツ 2%
また、中国株66銘柄を外すことが報じられた先日の下記ニュースなど
【MSCI指数、中国66銘柄除外 日印へ資金シフト拍車も】、随時銘柄などの見直しもされています。
【eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)組み入れ銘柄】
・アップル 4.5%
・マイクロソフト 4%
・アマゾン 2%
・エヌビディア 1.8%
・アルファベット 1.5%
・メタ 1.1%
・テスラ 1%
などを中心に、約3,000銘柄に分散投資を行っています。
新NISAは理論上、早く埋めれば埋めるほど有利
そして、新NISAでインデックスファンドに投資する場合、過去のデータで考えると、理論上は早く埋めれば埋めるほど有利となります。
(例)年利5%として5年で1,800万埋めるのと、30年で埋めるのでは約3,000万円の差が出る
そのため、今回は新NISAの限度額である1,800万を毎月30万×5年の最速で埋めた場合のシュミレーションをしてみたいと思います。
年利7%だった場合のシュミレーション
まず、7%の利回りで計算してみます(過去30年間でのオルカン年平均リターンは約7%)。
シュミレーションとしては、2024年1月時点で40歳として、三菱UFJアセットマネージメントの【こちら】で計算しました。
まず、新NISAが始まった2024年1月〜2028年12月までの5年間、毎月30万円を積立します=2028年12月に限度額1,800万に到達。
7%の利回りの場合、積立開始から5年後の2029年(45歳)には2,135万(元本1,800万)になり、ここから積立はできなくなりますが、5年後時点のこの2,135万円の運用はそのまま続けた場合
→さらに5年後の2034年(50歳)には2,994万円
→10年後の2039年(55歳)には4,199万円
→15年後の2044年(60歳)には5,890万円
→20年後の2049年(65歳)には8,261万円
→25年後の2054年(70歳)には1億1,587万円
→30年後の2059年(75歳)には1億6,252万円
になります。
年利5%の場合のシュミレーション
続いて、年利5%(国民年金の運用などは4%想定で考えられています)で計算してみると、同じく2024年から毎月30万積立を開始し、5年後の2029年(45歳)には2,034万(元本1,800万)になります。
そこから積立はできなくなりますが、5年後時点の2,034万円の運用はそのまま続けた場合
→さらに5年後の2034年(50歳)には2,595万円
→10年後の2039年(55歳)には3,313万円
→15年後の2044年(60歳)には4,228万円
→20年後の2049年(65歳)には5,396万円
→25年後の2054年(70歳)には6,887万円
→30年後の2059年(75歳)には8,790万円
になります。
資産寿命を延ばす取り崩しシュミレーション
次に、取り崩しシュミレーションもしたいと思います。
【三菱UFJアセットマネージメントの取り崩しシミュレーションはこちら】
【野村アセットマネージメントの取り崩しシミュレーションはこちら】
①例えば上述したように、最初の投資から15年後(2039年・55歳)に、それまでの利回り7%であれば4,199万・利回り5%であれば3,313万になった時点で、一括売却はせず、7%の場合は毎月30万取り崩し(売却)ても約23年間(78歳)・5%の場合でも取り崩し金額を10万円下げて毎月20万円ずつ取り崩せば、同じ約23年間(78歳)、資産が0になることはありません(残額は引き続き運用され続けるので)。
②取り崩し開始の年齢を、最初の投資から20年後(2044年・60歳)にした場合、それまでの利回りが7%であれば5,890万・利回り5%であれば4,228万ですので、一括売却はせず、7%の場合は毎月30万取り崩し(売却)ても60年以上(120歳超)・5%の場合でも取り崩し金額を10万円下げて毎月20万円ずつ取り崩せば、約40年間(100歳)、資産が0になることはありません
この金額には将来受け取る予定の年金は含まれていませんので、一括売却ではなく、取り崩し(一部売却)という選択肢を選ぶことで、さらに資産寿命を延ばし、その期間にさらに資産を増やすことができます。
出口戦略までイメージすることが重要
始まったばかりの新NISAですが、日本のNISAがお手本とした英ISAに改革案が浮上しているように、今後日本のNISAの制度内容も、細かい点も含め、変わる可能性はかなり高いと思います。
そういった中で、新NISAでのインデックスファンドへの投資については、長期運用でリスクを軽減することや、ドルコスト平均法(日々価格変動する商品を定期的に一定額積立投資することで購入金額を平均化できる)で高値掴みのリスクを軽減することと同じように、出口戦略のイメージも描いておくことが大切だと思っています。
今回は、全世界株式(オルカン)を最速で限度額まで埋めた場合でシュミレーションしてみましたが、新NISAは最低100円から積立可能です。
始めるか迷っている方などは、まずご自身が負担にならない金額でシュミレーションしてみて、出口までの戦略をイメージしてみることをオススメします。
【関連記事】
・新NISAで全世界株式(オルカン)を毎月30万つみたてた結果
・結局S&P500と全世界株式(オルカン)はどちらを買うべきか
・新NISAの基本やデメリット 「成長投資枠」「つみたて投資枠」の違い
・つみたてNISA口座をひふみ投信からSBI証券に変更する方法
・三井住友NLカードを使ってSBI証券でつみたてNISAを始める方法
・SBI証券でつみたてNISAの買付を設定する方法
・つみたてNISA(ひふみ投信)の売却(解約)方法